彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)






「コラコラ、ちょっともなにも凛・・・変な約束してんじゃねぇーぞ?それじゃあ、嘘つきにする約束したみてぇじゃねぇか?」

「よく言うぜ、瑞希。凛たんに入れ知恵した『あるお方』はお前だろう~?」

「れ、烈司!それは~」

「ねぇ、もしかして、あたしにした話を凛ちゃんにしたの?性同一性障害を隠すことは、時には自分を守るための嘘であって逃げることじゃない。偏見のある社会に対抗して生きてくなら、時には宝塚の男役をしてるつもりで演じれば、心のキズも増やさないで、少しは気が楽にならねぇかな?って、はげましで言ってくれたあのこと?」




(え?瑞希お兄ちゃん、モニカちゃんにそんなことを――――――?)




「そんなこと、言ったんですか?」

「つなぐ。」






私の代わりにそれを聞いたのは、男でも女でもない子。





「『隠すこと=嘘』・・・・・そういう意味であなたも俺に言ったんですか、ボス?」




見開いた目で私を見るつなぐ。




(ヤバい!!)




目があった時、そう思った。

これは、【そうだ】と言った方が良い気がする・・・・

あーん♪イベントのためだと、言わない方が良いと思う。

だからあえて、メンチを切りながらつなぐに言った。





「それが1番大事なことだろう?」

「ボス・・・・」

「名前で呼べ。つなぐ・・・本当のお前がどういうやつか、これから知っていこうと思う。けどな、モニカさんを見てきて俺が思うのは、この世の中、まだまだマイノリティーには厳しい社会だ。」

「・・・はい。」

「お前が女ったらしだ、ジゴロだと呼ばれようが、俺は構わない。それが個性なら、それでつなぐが満足してるならそれでいい。」

「そんなこと言ったら・・・女とのトラブルに巻き込むかもしれませんよ。」

「かまわねぇー。それで俺がお前にどういう一面があるか知れる。学習できるだろう?」

「が、学習って!」

「教えてくれ、つなぐのこと。半陰陽と、性同一性障害がどう違うか・・・・俺に語れ。そしてツラい時は、『僕』に甘えなさい。」

「あま・・・?」

「・・・それが対等な友達の権利じゃないですか?」

「~~~!」





優しく言えば、一瞬固まってから、片手で顔を覆ってしまった。



「つなぐ?」

「・・・・・理解しているといわれても、教えてくれっていうやつはいなかっ・・・っう・・・・!」

「つな、ぐ・・・?」



言葉をつまらせる彼をのぞきこめば、頬から滴が流れていた。




え?泣いてる・・・?

え!?泣かせた!?




あまりのことに、何もできない。

予想してなかったリアクション。