「数字なんて、ゲン担ぎだろう?高額なのには変わりない。だから・・・・旅行の時を狙って捕まえようとしたんだが・・・」
「え!?やっぱりあのくの一、君だったの!?てか、旅行の時から狙ってたんですか!?」
「じゃあ、凛を襲ったのぞき魔に刃物を食らわせたのは~」
「俺じゃない。」
瑞希お兄ちゃんの問いを、低い声で否定する軒猿。
「俺は何もしてない。」
「ええ!?でも、のぞき魔の手に刺さってた武器、忍者道具ですよね!?」
「確かにあれは、棒手裏剣だ。けど、やったのは別の奴。」
「別の奴??」
「そいつが何者か知らねぇが、そいつのおかげで狩れなかった。だから、忍者カフェで薬を仕込んで捕まえようと思ったんだが―――――――」
「凛が見破ったんだな?」
瑞希お兄ちゃんの言葉に軒猿はうなずく。
「自分でもかなり焦ってたんだと思うぜ。けど、戦ってみたらかなりやる。簡単に生け捕れないと思ったから薬をしみこませたクナイを使った。それでも、片手の自由しか奪えなかった。」
「どうして凛に、解毒剤を渡した。」
「『借り』を作りたくなかっただけだ。」
「借り?」
つぶやけば、私を見ながら軒猿は言う。
「お前、Jが俺にミサイルぶっ放した時、かばっただろう?」
「はい。危なかったから。」
「そこがズレてんだよ!敵の心配するか~!?」
「だって、その前に君は僕をJと庄倉から助けてくれたじゃないですか?」
「金を横取りされたくなかっただけだよ!助けたと受け取ったのかよ?」
「違うんですか?」
「真顔で聞くな!困るなぁ~そういうの・・・」
「いや、そう言われても~・・・・・体が勝手に動いちゃったんで~」
「チッ!そん時に・・・俺がミスしたんだ。」
「え?完璧な手裏剣さばきだったじゃないですか?」
「そこじゃねぇ!ほら、お前が俺をミサイルからかばってくれた時!」
「は?あの時・・・なにがあったんです?」
「俺の・・・・・・・着ていた忍者服がさけて―――――――・・・・・お前、俺を見たじゃんか?それで俺、お前に体を見られたと思って・・・・」
「あ!?」
頬を染めながら言う軒猿の態度で理解する。
思い出す。
―チッ!やっぱ・・・『見られてた』か・・・―
それでわかった。
なぜ、軒猿があんなことを言ったのか。
胸がある関山つなぐに驚いた時、そんな私を見て、どうして関山つなぐも驚いていたのか。
「目が合ったから、体を見られたと思ったんですね!?」
実際は、まったく見えてなかったのに。
〔★そんな余裕はなかった★〕


