指定されたのは、廃墟としては有名なオフィスビル。
幽霊が出るから空きテナントのままだというけど、烈司さんが言うには『悪い組織がダミー会社として使ってるだけDAYO~♪』というので、世の中は悪い奴が多いと思う。
〔★生きている人間の方が怖いというお話★〕
バウンウウ~~~~~~ン・・・・!
ゆっくりとバイクを止め、鍵を抜く。
単車から降りて、周囲を見て歩く。
「入口は正面玄関しかないか・・・・」
外から見る限り、各階ごとにワンフロア。
慎重に、警戒しながら中に入って行く。
真っ先に目に飛び込んできたのはエレベーター。
「使えるかな?」
押してみるが、点滅さえしない。
「無理か・・・・」
(仮に動いたとしても、閉じ込められそうだから使わないけどね・・・ただ・・・)
「どんなわなを仕掛けてるかわからないからな・・・軒猿は。」
人を襲ってきたと思えば助けたり、助けたと思ったら涼子ちゃんを使って『凛道蓮』を呼び出す男。
(目的は、私にかかってるお金だってわかってるんだけどね・・・・)
そんな思いで、5階建ての階段を登る。
1階、2階と、上へ向かうのだが・・・・・
「おかしい・・・どの部屋にもいない・・・」
3度目の正直で、オフィスビルのドアを開ける。
しかし、段ボールやいすが無造作に転がっているだけで、どこにも人はいない。
3階まで来て、見通しの良い部屋しかない。
ピヨピヨピー♪
携帯が鳴ったのは、3階のオフィスから出ようとした時だった。
表示を見て、全身に電流みたいなものが走る。
(涼子ちゃんからだ!)
ということは――――――――――!?
「関山つなぐか!?」
〈軒猿って呼んでよ、4代目。〉
「どこにいる!?」
〈4階だよ。〉
急いで、3階のオフィスから飛び出す。
一気に階段を駆け上がる。
ダンダンダンダン!
私の足音が建物中に響き渡るようだった。
駆け上がった先に見つけたドアに手をやる。


