「もしもし、涼子ちゃん?」
〈もしもし、涼子ちゃんじゃないよ?〉
「え?」
涼子ちゃんだと思って出たら。
「涼子ちゃん・・・?」
〈だーかーらー、涼子ちゃんないよ。〉
セリフもだけど、本人ではない声が耳に響く。
「誰だ!?」
〈軒猿。〉
反射的に叫んだ私とは対照的に、落ち着いた口調で相手は名乗る。
その名前に、体が熱くなる。
「軒猿だと!?」
〈こんにちは、凛道蓮君。会場でのパーティー以来だね。腕の具合はどうだい?〉
「おかげ様で回復し・・・って、そうじゃなくて!!なぜ、僕に薬を渡す気になったんだ?」
〈質問の優先順位が違うんじゃないかな~?〉
そう言われてハッとする。
「そうだった!!なぜ、お前が涼子ちゃんの携帯に!?」
〈言わなくてもわかるでしょう?〉
「さらったのか!?」
考えられる可能性を口にする。
〈嫌だな~預かってるだけだよ。〉
私の問いに、とんちの利いた返事を返す忍者。
「ヤッパリ誘拐じゃないか!?何が目的だ!?」
〈わかってるくせに~44,444,444円♪〉
「人を値段で呼ぶな!関山つなぐ!」
〈なんだよ、もうバレたのか。〉
不意打ちを込めて本名を言ってみたけど、相手は動じない。
〈さすが、龍星軍の初代の情報網は早いな。〉
「現役メンバーと言ってもらいたいですね!?」
感心する忍者に、悔しい思いで言い返す。
「瑞希お兄ちゃんを、女の人だと間違えた『くノ一』よりはしっかりしてるぞ!」
〈あぁ、あれにも気づいたの?〉
「それだけじゃないだろう!よくも、海に引きずり込もうとしたなぁ~!?」
〈何の話?知らないなぁ~〉
のらりくらりかわす相手に、ますます体があつくなる。


