「良心。」
〈良心?〉
「うん、良心。涼子ちゃんがいるから、イタズラ程度で収めておこうって思える。キレイで清らかな水のような、心地よい風のような・・・・一緒にいると居心地がいいんだ。ホッとする感じかな?」
〈そんなこと・・・・・・初めて言われた。〉
「そうなの?周りは見る目ないね?」
〈凛君が変わってるのよ!私、自分でもわかってる。生真面目すぎて、クラスの男子にも・・・野球部の男子にもよく『ヨーグルトにバナナ入れて食べますか?』とか、わけのわからないことをしつこく聞かれて~〉
「カンナさんに頼んでやめるように言ってもらうよ。」
〈あ、違うよ!告げ口する気はなくて~〉
「嫌がるのに聞いてくるのは、いじめのきっかけにもなる。部活はともかく、どこにでもあほな男子はいるね~」
〈凛君・・・・〉
「あ、なんか僕ばっかりしゃべってごめんね。時間、平気だった?」
〈あ・・・いけない、休憩時間が終わっちゃう。〉
「え?もしかして、夏期講習中?」
〈そうなの。志望校対策、早めにしておきたいから・・・〉
「そこって、涼子ちゃんが行きたい学校なの?」
〈うん・・・だから、頑張れるって言うか・・・〉
「うらやましいな。」
この子は自分で決めたレールを歩ける。
それなのに私は・・・・
「俺、涼子を応援してるよ。」
〈り、凛君!?〉
「じゃあ、切るね。」
〈待って!!〉
携帯を耳から話そうとしたら叫ばれる。
〈私、私ね、凛君!〉
「なに、涼子ちゃん?」
〈私・・・・凛君のお友達になりたい!〉
「涼子ちゃん!?」
〈お友達でいいから側にいたい!お友達に・・・なってくれますか・・・?〉
控えめで、謙虚に、奥ゆかしく彼女は言う。
そんな相手への返事は決まってる。
「僕らはもう友達だよ、涼子ちゃん。」
自分とどっかダブルこの子だけは、幸せであってほしい。
「これからも友達として仲良くしてください、小林涼子ちゃん。」
〈はい・・・喜んで・・・!〉
「涼子ちゃんさえよければ、僕はそれ以上の関係を望みますけどね。」
〈え?それってどういう・・・〉
友達もいいけど、親友も捨てがたい。
だけど―――――――
「独り言です。」
欲張っちゃダメだよね?
今だって、カンナさんという親友が側にいてくれる。


