「こ、これ!?」

「噛め。」





キリッとした顔で言われ、上の歯と下の歯を合わせ合う。




ボリボリ・・・・



「に、にがぁーい!」

「ちょっと、みーちゃん!今のは!?」

「うははは!忍者さんからの解毒剤でっか~」

「瑞希、薬の成分を調べる前に飲ませるんじゃない。」

「うっせー!少量であっても、調査用にとったせいで、凛の腕の麻痺が治らなかったらどうすんだよ!?凛だって・・・・いつまでも、腕が動かないままじゃ困るだろう?」

「瑞希お兄ちゃん・・・」



私のために・・・・





「それもそうね。今は、凛ちゃんの身体を一番にしましょう、イオリン?」

「フン!次会った時は、ジェットスキーの件も含め、100倍返しで薬も奪う・・・!」

「うはははは!怖いのぉ~」

「凛、どうだ?動きそうか?」

「い、いえ・・・」





言われて指先を動かそうとするけど、ピクリともしない。





「動かないです・・・!」

「・・・・効果が出るのが、遅いだけかもな。」

「わからんぞ。ただの苦いだけの薬かもしれん。」

「イオリン、いじわるはやめて!」

「うはははは!そのうち、効果が出るとちゃう?はよう、逃げようや~」





そう言って、いつの間にかヒモはしごに手をかけていたヤマトが、手を振りながら私達を呼ぶ。





「それもそうだ。遅滞性だろう。」

「ここにも素直じゃない子がいるわねぇ~気にしちゃダメよ、凛ちゃん。絶対治るからね?」

「そうだといいんですが・・・」

「心配すんな!そん時は俺が何とかしてやる!」

「お兄ちゃん。」





私を背負って、ヒモばしごへ足をかけながら彼は言った。