彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)






(・・・・・・いくら冷静さを失ったとはいえ、30分も締め上げちゃって、悪いことしちゃったなぁ~)



その時のことを回想して反省する。

ヤマトへのお土産、奮発しよう。




「どうした凛!?急に、シリアスな顔しやがってよぉ~?」

「え!?い、いいえ!なんでもないです、瑞希お兄ちゃん!」




バイクのミラー越しで心配してくれる人に、左右に首を振りながら答える。





「もしかして、海、嫌だったか・・・・?」

「な!?違います!僕はただ!」

「なんだ?」

「え、えーと~海の家で何を食べようかと思って、悩んでいただけでして・・・!」

「え!?腹減ってるのか、凛!?」

「そ、そんな大げさなほどじゃないですよ~ただ、軽く何か食べたいなぁーと!」

「なんだよ~それなら、そうと言えよ!」





ホッとしたような、さわやかな笑顔で好きな人は言う。





「そんじゃあ、凛のためにもフルスロットで飛ばすかぁー!?」

「わはははは!競争か、瑞希!?」

「お♪久々に良いねぇ~」

「せったくだしぃ~負けた人のおごりねん♪」

「俺は海鮮丼でいいぞ。重り付きの瑞希。」

「誰が漬物石だ!?最下位だ伊織!?凛、しっかり体に捕まってろ!ガチで飛ばす!!」

「つかまっ・・・!?もちろんです!!」





獅子島さんのおかげで、合法的にギュッと瑞希お兄ちゃんの体にしがみつけた。





「あーん、そうやって凛ちゃんとイチャつくしぃ~」

「いつものことだろう。」

「ということで勝負と行こうか。」

「レディ・・・・・・・GO―――――――――――!!」

「わはははははは!!」





烈司さんの合図で、各自のバイクのエンジン音が上昇する。

道路いっぱいで平行に並び、一般車から見れば、ご迷惑な走行。

プロのバイクレース顔負けの加速で海へと向かう。





(ああ~瑞希お兄ちゃんに密着できて幸せ♪)





なかなか、ラブストーリーのような展開がなかったけど、これで希望が見えてきた。

テンション上昇で、そっと彼の背中に頬ずりしたのだった。



〔★凛はちゃっかりしている★〕