彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)




「でも、どうしよう!旅行には行きたいけど、海に入らないのは不自然だし・・・」

「山に変えてもらったらええんちゃうん?」

「瑞希お兄ちゃんは海に行きたがっているんですよ!?好きな人の要望に応えるのが、好感度アップの条件でしょう!?」

「せやけど、それで女の子ってバレて、自分はかまへんのかー?」

「かまうね!ダメだね!」



ということは・・・・・






「・・・・・・・あきらめるしかないの・・・・・?」





瑞希お兄ちゃんとの旅行。

好きな人との、初めてのお泊り旅行。





「あかんで!!」





情けなくつぶやいた瞬間、怒鳴られた。





「キャンセルするのはあかんで、凛!」

「ヤマト・・・・」

「このタイミングでバレちゃあかんと、わかってるとは思うが、あかんで、凛!?恋は、常に粘ったもん勝ちや!」

「ヤマト。」

「まぁ、わしは前回粘ってあかんかったけど、凛はあきらめたらあかん!凛みたいなええ子、幸せにならにゃあかんで!?」

「ヤマト・・・さっきと言ってること違わない・・・?」

「思春期はいろいろあるねん!ほなしゃーない!『あの手』で行こうや!」

「あの手?」

「せや!女の子やとバレないで、瑞希はんらと海に入れる方法やぁ~!」

「なにっ!!?そんな方法あるの!?」


グワッシッ!!

「がは!?」





思わず胸ぐらをつかめば、ヤマトの首が変な音を出す。





「ど、どーすればいいの!?どうすれば、バレないの!?ねぇ!?」

「ちょ、あかんあかん!苦し・・・!」

「どうすれば、瑞希お兄ちゃんの生の水着姿を間近で見られるの!?ねぇ!?」

「ちょ、思考が思春期男子になっとるけど、ええんかい・・・!?」

「いいから!どうすればいいのぉ~!?瑞希お兄ちゃんとお泊りしたいんですよぉ~!!」

「わしは、首絞めをやめてほしぃい~~~~~!!」





その後私が、ヤマトから『思春期男子が思いつく方法』を聞きだしたのは30分後のことだった。