彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)






「では、オーダーの確認をするでござる。伊賀流忍者茶そばセット、デザート付きをご注文のお客様はどちらでござる?」

「あ、彼女です。」




男性スタッフの言葉に答える。

それで、緑色のお蕎麦と、つゆと、てんぷらの盛り合わせと、デザートである色抹茶アイスがのったお盆が涼子ちゃんの前に置かれる。





「僕のおごりですから、遠慮しないで召し上がれ、お姫様?」

「あ、ありがとう、凛君。」





優しく言えば、軽く会釈しながらお礼を言う涼子ちゃん。

そこへ再び声がかかる。





「では、こちらがお客様の伊賀流忍者のお抹茶セットでござる。」

「あ、凛君のだね!」

(ん?)



抹茶のアイスとぜんざいが一緒になったデザートが私の前に置かれる。

それを見て、涼子ちゃんが楽しそうに言ってくれたけど。





「伊賀流?」





あなたは言うことがこまかいと言われるお母さんの言葉通り、余計な一言を言ってしまう。

いつもなら言わないことなのに、なぜか、その日に限っては言ってしまった。





「僕が頼んだのは、『伊賀流忍者』ではなく、『甲賀流忍者』のお抹茶セットですが?」





そう告げた瞬間。






「几帳面でござるな?」






忍者姿のスタッフが笑った。

その目が笑う。

小さい間違いを指摘され、誤魔化すための愛想笑いじゃない。

同時に、その手に光る何かを見る。

周囲へ隠すように、私達へと向けられる。





(ヤバい!?)





反射的にそう思い、テーブルの裏をつかむ。





「凛君?」




ガッシャーン!!

カッ!カッ!カッ!





「きゃああああああああああ!?」





グラスやお椀の割れる音と、涼子ちゃんの悲鳴が店内に響く。

机をひっくり返した私は、急いで涼子ちゃんを私の方へと引き寄せる。





「り、凛君、いきなり何!?」

「僕の後ろへ隠れて、涼子ちゃん!」





ひっくり返したテーブルの表面を見る。

ちゃぶ台を盾にした時、掌に伝わった振動。





(――――――――――あれはただ事じゃない!!)





素早く確認する。

パフェとお抹茶セットが乗っていた場所に何か刺さっている。

それがなにか、鈍い私でもわかった。






「手裏剣!?」

「卍手裏剣だ。」






感心するような声が聞こえた。






「反射神経が良いねぇ~」

「き、君は!?」

「店員さん!?」






私達に食べ物を運んできたスタッフだった。