彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)






(帰ろう。)



知り合いなんていないし、作る気もない。

いつまでも長いしたくない。

理由もない。

それに・・・・





(今から急いで着替えれば、1時間ぐらいは、瑞希お兄ちゃんと会えそうだもん・・・)





そんな思いで、教室から一歩外に出た時だった。



「ぶりっ子。」

「あの子、媚びるのが上手だよね~」

「初対面で先生を丸め込んじゃって~上手くやるじゃん?」



そんな会話が聞こえた。





「・・・。」


(馬鹿じゃねぇーの?)





無視した。

振り返ることなく、教室を後にする。

主語はなかったけど、私が動いたタイミングと声の大きさからして私への嫌味だろう。




(私は呼ばれたから、質問されたから、答えただけ。)




それなのに。



(・・・・この塾、嫌かも。)



いいや、塾が嫌なんじゃない。





(塾に来ている『人間の種類』が嫌なんだ・・・!)





足早に建物の外から出る。

1階から2階までが塾のテナント。

建物から出る時、チラッと目だけで見上げれば、窓際から私を見下ろしている人達がいた。

一瞬だったけど、わかった。

確信できた。




「やっぱ・・・『俺』に言ったセリフかよ・・・」





声は小さく抑えたが、凛道蓮スイッチが入る。

自然に気持ちの切り替えが出来たので、よしとした。

ここからヒミツのロッカーに行くまでは、時間がかかる。

ヤマトの家に行った方が、早く凛道蓮になれる。

関西男子からは、好きに出入りして着替えていいと言う言葉と共に、合鍵ももらっていた。

だから家とは逆方向へと進んだ。

1時間でも、10分でもいいから、好きな人に会いたいがために。