瑞希お兄ちゃんからの旅行のお誘いがあった日、私は真っ先に自慢した。




「瑞希はんと海ぃ~!?」

「えへへへ~そうなんですよ!」





クーラーの利いた部屋で、グラサンとカチューシャをしている友達に話した。





「ヤマトにも、お土産買ってきてあげますからね!」

「うはははは!わしゃぁ、凛の土産話の方が気になるわ~!」



私の言葉に、ゲラゲラ笑いながら答えるのが、五十嵐(ごじゅうあらし)ヤマト。

凛道蓮の正体を知る、唯一の親友でもあります。





「ほれ、飲み物!部屋の温度これぐらいでええか?」

「うん、ありがとう、ヤマト。」





学校が夏休みということもあり、ヤマトの家まで遊びに来ていました。

彼は一人暮らしなので、誰かを気にすることなく楽に話せます。

ただし、いわくつきの部屋なので、生きてる人間以外もいそうですが・・・・





「うはははは!しっかし、瑞希はんらと旅行かいなぁ~自分、家族にはどないゆーねん?」

「友達の家に勉強のお泊り会すると。」

「はぁ~菅原凛なら、『お勉強』のキーワードさえ言えば、何でも自由になんねんなぁー?」

「・・・・・・・まぁね。」




そう、龍星軍4代目総長・凛道蓮というのは仮の姿。

私の本当の正体は――――――――――





(あゆみが丘学園高等部1年B組所属のいじめられっ子・菅原凛、15歳よ!)




〔★むなしい解説だ★〕



「うははは~ほんまもんの姿の方が地味って、どないやろなぁー?」

「大きなお世話ですよ。」




自分でもそう思ってますっての!!



〔★自覚はしていた★〕





(とにかく!この旅行をきっかけに、瑞希お兄ちゃんと急接近して、ラブラブになる!!)






気合を入れている私に、ヤマトがいつもの調子で言ってきた。