バンッバンッ
バンバンバンッ!!


バンッバンッ
バンバンバンッ!!


かっとばせー!! 宮嵜!!


打ってー! 打ってー!


宮嵜!!!




私は、大歓声の渦の中心にいる〝その人〟から目が離せなかった。

何万もの人に見詰められて、それでも尚、堂々とバットを構えている。

轟くような大きな声援と、熱の篭ったチャンステーマを、大きな背中で受け止めて。

その一振りに沢山の夢と、希望が、託されているようで。


私は、その感動に、身体が芯からブルブル震えるのがわかった。

ドームも同じように、大歓声に打ち震えている。



──これが、プロ野球選手なんだ。

──これが、……エースなんだ。



「……凄いでしょ?」



隣にいた男の子の自慢げな笑顔に、言葉も返すことができなくて、私はただ、何度も頷いた。



「今から、ホームラン打つんだからね」



信じて疑わぬように、その男の子はまた、自慢げに言った。



そこで、私はその男の子に、何かを尋ねたんだけど──……

やっぱり、思い出せない。

ここで、私が彼に尋ねた言葉と、その返答は、どうしても思い出せなかった。