感動に打ち震えていると、携帯の着信音が鳴った。
発信源は……親友の道下柚香(みちした ゆずか)。



「もしも……」
『知菜?! 見た?! ねぇ、宮嵜さんが!!』



私の言うのも遮って、柚香は猛烈な勢いで言った。
そんな柚香に呆れ笑いしながらも、素直にうんと頷く。



「見てたよ。凄いね」
『あれ? 意外と冷静。……嬉しくないの』
「ううん。……感動で、言葉出なくて」



私は携帯を耳と肩の間に挟むと、震える身体を守るように、両手で自分を抱き締めた。



『惚れ直した?』
「ふふ、そうかも」



画面の中の宮嵜選手を見て、目を細めながら、柚香の冗談ぽく尋ねた問に冗談ぽく返した。



「宮嵜選手は、私の初恋の人だもん」
『……あれ、初恋は球場で出会ったちょっと年上の男の子、じゃなかったっけ?』



言われて、はっと、息を呑む。
そして、すぐに、ちがうよ! と弁解した。