「そうして、その少年の手によって、世界は救われました。」
そう言うと梨菜は本を閉じて、「おしまい」と言った。すると、
「ねぇ、お母様?」
「どうしたの、梨流?」
「私たちも、世界を救えるかな?」
「きっと…救えるよ…」
「ほんと?」
「えぇ…だって母様も梨流も守り神なんだから…」
「うん!梨流頑張る!!」
嬉しそうに言っている梨流を見守りながら梨菜は困り顔で笑った。
(もうすぐ、梨流も儀式に行かないといけないなんて……)
「ねぇ…梨流」
「なぁに?……お母様」
「梨流は誰を守りたい?」
「……?」
わかんない顔をして、梨流は首をかしげた。
「だれって?」
「梨流はこれから大きくなって、守り神として頑張らないといけないの…でも、誰のために梨流は頑張るの?」
「……う~ん」
梨流はしばらく考えて、答えた。
「みんな!!」
梨流は笑顔で答えた。ほとんど無理に近い夢だった。
「…そう…」
梨菜は少し驚いたが、すぐに笑っていった。
「…じゃあ、頑張るんだよ…」
「うん!」
そう言って、梨流は嬉しそうにしていた。
そして、日は過ぎていくー。



