「なんでそんなことを…………」


「たまたま聞いたんですよ。誰かに言わせた訳じゃありません」


「当たり前よ。そんなこと私が言わせるものですか」



奏子さんは知っていた


だから僕にも詩乃にも話さなかった


最初から僕は諦めてた


ドナーが見つかる可能性は低いし、またそれが適合するのかもわからない


適合したところで、いつまで生きられるかはわからない


たった少しの延命にすぎない


わかってた


どうせ移植したって、体が弱いことに変わりはない


どうあがいても、そんなに長くは生きられないってことを