「なんで………?」


「ピアノの練習もしたいけど、りっちゃんのことも気になるんでしょ?特別に置かせてもらったの」


「お母さん………。ありがとう」


「早く律が目覚めてくれるといいわね」


「うん…………」



私はピアノの前に座った



「お母さんは家に帰るわ。何があったら、連絡ちょうだい」


「うん」


「無理しないでね。じゃあね」



そう言って、お母さんは帰って行った


病室には、ずっと寝ている律と私の2人だけ


……………


私はピアノを弾こうと思った


律が好きだって言っていた愛の悲しみ


有名なショパンの子犬のワルツ


色々な曲を弾いていった


それでも私の心には穴が空いたままだった


律がいないだけでこんなに違うんだと改めて知った


早く帰ってきて欲しい


私の今の願いはそれだけだった