「おい‼輝空っ、こっち来い来い♪寧音がニンジンくれだってよー」

ドキッ……と、名前に反応してしまった。
右手にハシ、左手には食べかけのお弁当を持った輝空くんの姿が近づいてきた。

「ん~?」

口にご飯が残っていてしゃべれない姿は少し間抜けだ。

「輝空くん、ださッ」

指をさしてケラケラと笑う寧音。
いやいやー、ださくないからと言って寧音のお弁当にニンジンを乗せる輝空くん。
キャーキャーと、寧音がひたすら叫ぶ。
しかたねぇなぁー。と、尊がニンジンを取り除くと寧音は笑顔で尊の頭をなでた。上機嫌の尊は寧音の手をとる。

「じゃ、俺たちジュース買いに行ってくるから♪」

「じゃあ俺も……」

「あ、だめだめ。俺らのラブラブデートを邪魔するなってっ‼」

素早く拒否された輝空くん。
なんだよ~と、ふざけていじけてみせる。

「あーぁ、俺ら失恋だな」

「意味わからん(笑)」

輝空くんはわたしの目の前にあぐらをかいて座った。