寧音と尊に手を振って教室へ戻ると、ドアの前には侑里と未和と榎子がいた。
あ、お帰りー。と、わたしに一番に気づいたのは榎子。松葉杖が目立つ。
榎子は冬休み中バイクで事故を起こし足を骨折したため、スキー教室は参加出来なかった。

今行われている罰掃除の由来を知らない榎子に未和が解説をしていたようだ。泉と莉華の姿がなかったのでたずねると、三人そろって上を指す。

あぁ、そういう事か。納得。
ここは2階、天井の階は2年生の教室。
きっと今頃、クッキーとリンゴのスマホピアスを渡しているんだろう。

ふざけながら床を雑巾で吹き上げている商業科の男の子達。その様子をなにも考えずに眺めていた。


しばらくすると泉と莉華が戻ってきた。有頂天な泉とキャハキャハと盛り立てる莉華。
二人におかえり、と告げる。泉は無駄に元気良く返事を返してくれたけれど、莉華はやっぱり素っ気ない。


スキー教室から帰って来てから、やっぱりなにか莉華に違和感を感じる……そんな日が何日も続いた。