お父さん、お母さん、真ん中にはちっちゃい子ども。雪だるまの親子を眺めながら輝空くんの話を聞いていた。
沈黙の中、白い吐息が綺麗だ。
「あの時、話聞いてくれてありがとな」
「へへ、感謝しろよな♪まぁお礼はジュース一本でいいよ~」
「うわ、お前調子のんなよっ‼」
足下の雪をかきあつめてわたしに向かって吹雪かせる。宿舎の外は寒いけどなんだか心は暖かい。
輝空くんが野球を続けていて、辞めていなかった。そのことがなんだか嬉しい。
「実はさ、尊に言われたんだ」
「え?何を?」
輝空くんは立ち上がり背伸びをする。
「歩舞がずっと心配してるみたいだぞーって」
へ……?
輝空くんを見上げ、ふと、ひとつの記憶が甦る。
『まぁ待ってろよ♪じゃーな~』
尊……そういうことだったんだ。
わたしを心配して知らない間に行動してくれていたんだ……でも、なんで尊が……?もしかして……


