「Ａ軍の遠征に連れていってもらえなかった先輩が、無茶な練習をする姿を見て止めに入ったんだ。先輩はやり場のない苛立ちを俺に向けた……その時、部室には他に人がいなくて、先輩は………。
『お前なんかに指図される筋合いなんかねぇーよ──……ムカつくんだよ──……』って。いくら罵声を浴びせられてもどれだけ殴られ蹴られても、俺は反撃をしなかった。苛立ちをぶつけ終えた先輩は壁を殴って外へ出ていってしまった……」


輝空くんの口から言葉が尽きてから、そっと輝空くんを抱きしめた。
野球が好きな男の子。クールに見えるけど、ほんとはとてもあったかい人。
雨にまぎれて泣いている気がした。