ポケットからスマホを取り出して、送信元を確認すると輝空くんからだった。

【助けて……進路室にいる】

え……?助けて!?
何があったんだろう……っ、胸騒ぎがする。

「どーしたの?」

「……寧音、ちょっと行ってくる‼」

「えッ?歩舞っどこに──……」

寧音の言葉を最後まで聞かずに走って進路室に向かった。

この時、なぜ進路室に行ってしまったのか後悔をする事になったのはそのすぐ後だった……


―――
――

「はい、これよろしく」

わたしの目の前に山積みされた大学の資料。

「いやぁー先生に頼まれちゃって困ってたんだ」

ダマサレタ……

「助けてっていうから何かと思えば……走って来て損したぁぁぁ~。こんな事なら来なきゃよかったよ」

「まぁまぁ、卵の割引券やっただろ?」

輝空くんは資料を棚に入れながら振り返った。

「いつの話よー」

椅子に座って肩ひじをつきながら資料の仕分けをするわたしの頭を、輝空くんがクシャっとなでる。