「いいなぁ~歩舞は」

トイレで手を洗っている時、寧音が後ろでため息をつく。

「どーしたの?」

「だってさぁ~高校球児と青春しちゃってるーとか、マジ憧れるっ」

そんな寧音に、わたしは手を拭きながら大笑い。

「あははっ‼何言ってるんだかねー、寧音には旦那さんがいるデショ♪」

「だって尊ったらデリカシーないんだもんっ。人前でギューとかしてくるし、誰もいない階段でいきなりチューしてくるんだよっ」

「そんな事言ってぇ~、尊にギューってされるの嬉しいくせに♪」

そう言ってふざけて寧音にギューをして二人で廊下ではしゃいでいたら、前方に歩いてくる尊が見えた。
はしゃいでいるわたし達を見て、走って寧音にギューっと抱きついてから去って行く。

「なんなのよ~まったくっ、ほんと困るし‼」

「あれ?寧音、そんな事言って顔が笑ってますョ♪」

寧音がプクーっとふくれ顔をして照れている。両手でバチン、とふくれた頬を叩いたら空気が抜けてブー、と変な音がした。
痛がる寧音と笑うわたし。
そこにスマホの音が鳴り響いた。