輝空を初めて見た日。輝空が話しかけてくれた時のこと、輝空と気まずくなった日も。笑ってくれたことも、手を繋いでくれたことも、近づいていった日々のことも。
思い出は忘れない。
でも、今日を過ぎればもう輝空には──……
「行ってくる」
窓に置いていた手を離し、整理された机の列の間をすり抜けてドアに手をかけて咲を振り返る。
「最後に……ちゃんと、友達に戻ってくる」
咲は、頑張って。と、走り出したわたしに手を振った。
一段とばしでかけ降りる階段。
振り返れば、いつも呼び止めてくれた輝空の声が今にも聞こえてきそうなそんな気がしたけど。振り返る時間ももったいなかった。
ちらほらと残る同級生の姿を通りこし、玄関へ。
「……まだいる」
年期の入ったボロボロのシューズ、輝空のお気に入りのメーカー。まだ、ゲタ箱の中にあった。
行かなくちゃいけない。どこにいるかはわからないけど……
思い出は忘れない。
でも、今日を過ぎればもう輝空には──……
「行ってくる」
窓に置いていた手を離し、整理された机の列の間をすり抜けてドアに手をかけて咲を振り返る。
「最後に……ちゃんと、友達に戻ってくる」
咲は、頑張って。と、走り出したわたしに手を振った。
一段とばしでかけ降りる階段。
振り返れば、いつも呼び止めてくれた輝空の声が今にも聞こえてきそうなそんな気がしたけど。振り返る時間ももったいなかった。
ちらほらと残る同級生の姿を通りこし、玄関へ。
「……まだいる」
年期の入ったボロボロのシューズ、輝空のお気に入りのメーカー。まだ、ゲタ箱の中にあった。
行かなくちゃいけない。どこにいるかはわからないけど……


