顔をあげてドアのところに立つ男を見る。

「がっかりした?」

そこにいたのは輝空……ではなく譲治だった。

「なんでいるのよ」

わたしはベッドに倒れ込み、タオルケットを頭までかぶる。ため息とバタン、とドアが閉まる音がした。

「換気くらいしろよなぁ~」

ベッドのそばの窓に近寄り、カーテンを開けようとする譲治に気づき

「いい‼余計なことしないでよ」

わたしはタオルケットから顔だけ出て強く言い放つ。
見上げるわたしに譲治は顔色ひとつ変えずに、はいはい。と、適当になだめて部屋に新しい風を入れた。

白いカーテンが揺れ、外のまぶしさに目を細める。カーテンと窓を開けるだけでこんなにも違う世界が見えるのか。

「お前、ずっとこうなんだって?」

問いかけに答えを出さず何も考えず、譲治を見つめた。

「アホじゃねぇの?失恋くれぇでイジイジしちまってさ」

お前の頭には恋愛しかねぇーのかよ。

一瞬、イラッとした感情をぶつけようとしたが反抗をしようとした唇をかんで止めた。