***
野球部は学園祭に参加することができないかもしれないと知ったのは、輝空が教えてくれたから……ではなく。
いつものように放課後の学祭の練習時間に、寧音が前触れなくそのことを口にしたからだった。
「わたし、聞いてない」
電話で話をするのも微妙な気持ちだったわたしは次の日の朝まで待ち、購買のお弁当注文届けを出す輝空のカバンを捕まえた。
驚いて振り向いた輝空。
その場に居合わせた数人の野球部員はこちらをチラッと見て、輝空に一言残して先へ向かった。
「何が?」
「聞いてないよ?なんで学園祭と野球の試合が重なるって教えてくれなかったの?」
あぁ……それか、と思い出したような顔をした輝空。
「もう知ってるかと思ってたから。県内のテレビとか新聞でも試合組み合わせ出てたし……」
寧音と同じ事を言う輝空を小さく見つめる。
「そうだったかもしれないけど……わたし、そんなに野球のこと詳しいわけじゃないから知らないもん……」
それにしたって……と、そこまで言って輝空は口をごもらせた。
「別に学園祭2日間の両方ともいないわけじゃないんだしさ……な?」
輝空はしょげているわたしの頭をクシャ、となでた。
いつもなら好きだと思えるその行為も、その時は適当にわたしの機嫌をとろうとなでたように感じて素直に喜べない。
当人には、そんなつもりなかったかもしれないけど。
野球部は学園祭に参加することができないかもしれないと知ったのは、輝空が教えてくれたから……ではなく。
いつものように放課後の学祭の練習時間に、寧音が前触れなくそのことを口にしたからだった。
「わたし、聞いてない」
電話で話をするのも微妙な気持ちだったわたしは次の日の朝まで待ち、購買のお弁当注文届けを出す輝空のカバンを捕まえた。
驚いて振り向いた輝空。
その場に居合わせた数人の野球部員はこちらをチラッと見て、輝空に一言残して先へ向かった。
「何が?」
「聞いてないよ?なんで学園祭と野球の試合が重なるって教えてくれなかったの?」
あぁ……それか、と思い出したような顔をした輝空。
「もう知ってるかと思ってたから。県内のテレビとか新聞でも試合組み合わせ出てたし……」
寧音と同じ事を言う輝空を小さく見つめる。
「そうだったかもしれないけど……わたし、そんなに野球のこと詳しいわけじゃないから知らないもん……」
それにしたって……と、そこまで言って輝空は口をごもらせた。
「別に学園祭2日間の両方ともいないわけじゃないんだしさ……な?」
輝空はしょげているわたしの頭をクシャ、となでた。
いつもなら好きだと思えるその行為も、その時は適当にわたしの機嫌をとろうとなでたように感じて素直に喜べない。
当人には、そんなつもりなかったかもしれないけど。


