『お前はメールの文章が長い』と、昔よく譲治に言われたことを思い出した。
でも、その時送ったメールはたった一言だけ。

【ちょっとだけ、会えるかな】

もしメールが返ってこなかったり、ごめんと言われたら──その時は諦めよう。そう決めて、スマホを石段に座るわたしの横側に置いた。


──ブー ブー ブー……

ドクンッ……
マナーモードのままのメール受信音。
すぐに返ってきたメールに気持ちが張りつめる。恐る恐るメールを見てみた。

【着うたフル★ポチっと押してポイントを……】

心臓に悪いメルマガを消去して石段の上に寝転がった。

雨のしとしと降る音は嫌いじゃない。規則的な感覚はまるで子守歌──……



ーーー
ーー

いつの間に眠ってしまったのか。
目が覚めた時寝ぼけた目をこすると、輝空くんがわたしの横にいた。

……夢?わたしはまだ眠っているの?

「夢じゃねぇよ」

その柔らかい声は確かに輝空くんだった。