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「歩舞、最近なんだか調子でないみたいね」
朝の稽古が終わり、水道で一緒に面手ぬぐいを水洗いしていた美千代が、歩舞らしくない剣道、と言った。
「ちょっと、疲れてるからかな……?」
最近稽古きついもんね。と、美千代はわたしの肩をもんだ。
史上最高の幸福な日になるはずが、史上最も最低な日に成り下がったあの日から一週間が経った。
輝空くんは相変わらず教室や廊下で、クラスの友達や野球部の仲間と笑い合っている。
わたしも相変わらず元気に学校生活を送っている……ふりをしていた。笑っていなきゃ平常心でいられなくなる。
学校の玄関を通れば今日もまた、そんな繰り返しの日々が待っている。そう思うと、上履きを履くことすら憂鬱に感じた。
「歩舞オハー‼」
パシッ、とわたしの肩を莉華が元気よくた叩いた。
「おはよ、莉華」
軽く微笑んで莉華と一緒に階段をあがる。
「最近歩舞はどうなの!?」
何も知らない莉華の笑顔は無邪気で、今のわたしにはつらい。トイレに入る莉華に手を振って、わたしは先に教室に向かった。
「歩舞、最近なんだか調子でないみたいね」
朝の稽古が終わり、水道で一緒に面手ぬぐいを水洗いしていた美千代が、歩舞らしくない剣道、と言った。
「ちょっと、疲れてるからかな……?」
最近稽古きついもんね。と、美千代はわたしの肩をもんだ。
史上最高の幸福な日になるはずが、史上最も最低な日に成り下がったあの日から一週間が経った。
輝空くんは相変わらず教室や廊下で、クラスの友達や野球部の仲間と笑い合っている。
わたしも相変わらず元気に学校生活を送っている……ふりをしていた。笑っていなきゃ平常心でいられなくなる。
学校の玄関を通れば今日もまた、そんな繰り返しの日々が待っている。そう思うと、上履きを履くことすら憂鬱に感じた。
「歩舞オハー‼」
パシッ、とわたしの肩を莉華が元気よくた叩いた。
「おはよ、莉華」
軽く微笑んで莉華と一緒に階段をあがる。
「最近歩舞はどうなの!?」
何も知らない莉華の笑顔は無邪気で、今のわたしにはつらい。トイレに入る莉華に手を振って、わたしは先に教室に向かった。


