リリチャンを抱えて階段を上る寧音の後に続いて、わたしも寧音の部屋に入る。

わたしの部屋より少し広い寧音の部屋。
カーテンの裾は、どっかの小さいいたずらっ子の爪で引っかかれた跡がいっぱい。
チョロチョロと、わたしのもとへやってきたリリチャン。頭に触れようとしたら、すぐにベッドの上に行ってしまった。
気まぐれなやつだなぁ。とわたしが言うと、部屋を簡単に片付けながら寧音は笑う。

「明日さ……」

「何?」

わたしがもじもじとしていると、リリチャンを持ち上げて興味津々にわたしの顔を覗き込む寧音。

「明日、わたし……告白するかも」

その言葉の恥ずかしさに俯く。

「やっと決心がついたんだ」

ゆっくり前を向くと、嬉しそうな顔をした寧音がそこにいた。



その日、わたしが寧音の家を出たのは日が落ちてからだった。
星空の帰り道、流れ星はないかと探す。
明日の今頃は、どんな気持ちでいるんだろう……浮かれているのかな、ちゃんと会話が続くかな。
どんなことしゃべろうかだなんて何も考えてないけど、なんだか大丈夫な気もした。

「輝空くん……」

なんとなく呼んだ名前は夜の空へ響いた。