【桜井実華】
今日は一次試験の時とは全く違う天候だった。
太陽が眩しいくらいに光を放っていて、冬なのに日焼けしそうだった。
空気だって前とは違う。
すごく気持ちの良い空気で、何も汚いものなんて含まれてないみたいで、なんだか優しかった。
「あ、あなたこの前の」
その声の主は、あの花屋さんのおばさんだった。
お互い驚いた顔をして、目を合わせていた。
「どうしてここに?」
別に花屋さんの目の前で会ったとか、そんなのじゃなくて、全く外れたいつもの私の通学路。どうしてここにいるんだろう……
「ちょっと買い物行ってたのよ。もしかして今日受験?」
ニッコリと優しく笑うその姿は、本当に素敵な人なんだなって私を魅了させる。
「はい。今から行くところで」
私も真似してニッコリ笑ってみせた。ちゃんと真似できてるかはわからないけれど。
「じゃあこれ、私からのメッセージね」
はい、と渡されたのは一輪の白いアネモネだった。
確か一輪のアネモネの花言葉は、"真実"や"期待"、"希望"。
「ありがとうございます」
まだ小さなアネモネをバッグに優しく入れて、また真っ直ぐ道を進み始めた。
電車に乗り込むと、いつもよりも多くの学生が乗っていた。前回もそうだったっけ。
だけど誰も騒がしくなんてしなくて、少し緊張した空気が流れている。でもそれは前とは違って、どんよりとした空気ではなかった。
それは晴れているからなのか、みんなの気持ちのおかげかはわからない。でも明らかに空気が変わっていた。
大きな太陽の光に照らされて、明るく輝く私の町は、次第に流れていく。
そして真っ暗なトンネルに入れば、また景色が変わる。
ぱっと明るくなったと思うと、キラキラと輝くビルやマンションが現れた。いつもよりも素敵な街に見えた。
電車が止まると静かに扉が開いた。
車内からゾロゾロと学生が出てきて、その中に私も紛れ込む。
切符を通して改札を出ると、また前のように集団ができていた。
私の行く道には、たくさんの人溜まりがあって、受験をするという実感が湧いてきて、だんだん緊張してきた。
今日で運命が決まるんだ。絶対に自分に負けられない。
だから、絶対に合格してみせる。
強く意思を固め、愛佳に貰ったお守りをギュッと握りしめた。
今日は一次試験の時とは全く違う天候だった。
太陽が眩しいくらいに光を放っていて、冬なのに日焼けしそうだった。
空気だって前とは違う。
すごく気持ちの良い空気で、何も汚いものなんて含まれてないみたいで、なんだか優しかった。
「あ、あなたこの前の」
その声の主は、あの花屋さんのおばさんだった。
お互い驚いた顔をして、目を合わせていた。
「どうしてここに?」
別に花屋さんの目の前で会ったとか、そんなのじゃなくて、全く外れたいつもの私の通学路。どうしてここにいるんだろう……
「ちょっと買い物行ってたのよ。もしかして今日受験?」
ニッコリと優しく笑うその姿は、本当に素敵な人なんだなって私を魅了させる。
「はい。今から行くところで」
私も真似してニッコリ笑ってみせた。ちゃんと真似できてるかはわからないけれど。
「じゃあこれ、私からのメッセージね」
はい、と渡されたのは一輪の白いアネモネだった。
確か一輪のアネモネの花言葉は、"真実"や"期待"、"希望"。
「ありがとうございます」
まだ小さなアネモネをバッグに優しく入れて、また真っ直ぐ道を進み始めた。
電車に乗り込むと、いつもよりも多くの学生が乗っていた。前回もそうだったっけ。
だけど誰も騒がしくなんてしなくて、少し緊張した空気が流れている。でもそれは前とは違って、どんよりとした空気ではなかった。
それは晴れているからなのか、みんなの気持ちのおかげかはわからない。でも明らかに空気が変わっていた。
大きな太陽の光に照らされて、明るく輝く私の町は、次第に流れていく。
そして真っ暗なトンネルに入れば、また景色が変わる。
ぱっと明るくなったと思うと、キラキラと輝くビルやマンションが現れた。いつもよりも素敵な街に見えた。
電車が止まると静かに扉が開いた。
車内からゾロゾロと学生が出てきて、その中に私も紛れ込む。
切符を通して改札を出ると、また前のように集団ができていた。
私の行く道には、たくさんの人溜まりがあって、受験をするという実感が湧いてきて、だんだん緊張してきた。
今日で運命が決まるんだ。絶対に自分に負けられない。
だから、絶対に合格してみせる。
強く意思を固め、愛佳に貰ったお守りをギュッと握りしめた。

