「翔!どうしたの!?」

俺たちの声を聞いたからか、母さんが階段を駆け降りてきた。ものすごく心配している顔で、勢いよく翔に近寄った。

「ねぇ、翔!!翔!?」

翔はソファにぐったりと倒れ込んでいた。それはただ寝ているようには見えなかった。

「救急車!」

母さんは一人で頭を抱えて発狂していた。そりゃそうだよな。大好きな息子がこんなことになったら。

俺はそばにあった固定電話で救急車を呼んだ。母さんが電話してしまえば余計に翔の命が危ない。

今呼んだのに!ってくらい早く救急車のサイレンが聞こえ始めた。

窓がポツポツと言い始めた。霰が降り始めたみたいだ。

翔の顔色は悪くて、苦しそうだった。その痛みと俺の心の痛みは全く違うかもしれないけど、苦しいという気持ちはわかる。だから胸がきゅっと締め付けられた。

翔、生きるんだ。