「…クスッ」




何か今、あたしのことを見て担任の先生笑ったよね?!


あたし何かした?!


いや、目線を逸らしただけだよね。




「棗先生、どうかしましたか?」


「いえ、特に何でもないです。」




でも、笑った顔がふいにキュンときてしまったあたし。

…これだから、イケメンは嫌なんだよ。


初めは女を誑かして遊んで、思わせぶりな態度を撮り好意があるように思わせる。

だけど、面倒くさくなればサヨウナラ。



…侑吾(ユウゴ)と似てる。



それに、これは漫画や小説のパターンか…。




「では、このままSHRを始めちゃってください。僕は授業の用意があるので。」




そう言って副担任が出て行った。


疑問に思ったことがひとつある。
何故、副担任が担任をやらないのか。


普通に考えたら、担任が変わったら副担任が担任になると思う。


そういう要素がなかったとか?


いや、考えるのはやめておこう。
副担任が可哀想に思えてきた。




「改めて、俺は棗 恭介。
さっきも言ったけど担当は数学でテニス部の顧問な。先週までアメリカにいて急遽このクラスの担任するなんて思わなかったけど…、あと、7ヵ月…?まぁ、よろしくな!」




これが、棗先生とあたしの出会いだった。