ガラガラガラ…




まだ、朝のチャイムが鳴っていないのに先生が二人入って来た。


1人は知っている。


このクラスの副担任の人だから。

でも、そのスーツを着こなした顔が整った人間はこの学校で見たことがない。




「皆、少し早いが席につけー。」




副担任がそう呼びかけるがクラスメイトのギャル達は目はハート。

全く、副担任の言葉が届いていないらしい。




「担任の前田先生がご都合により昨日付で辞めてしまいました。代わりに今日から新しく着任された担任の先生だ!

…棗先生、自己紹介をお願いします。」


「初めまして、今日からこのクラスの担任になった棗 恭介(ナツメ キョウスケ)です。

担当科目は数学で、前田先生に引き継ぎテニス部の顧問もやります。

1年間もないけどよろしく!」




何となく、この先生を理解した。
棗先生は多分、結構な女たらしだと思う。

イケメンだから彼女は取り替え自由だし
一途にならなさそうなタイプだ。




「さくら 担任テニス部顧問だって、
あんた本当にご愁傷さまだね。」


「…え、待って。ちーちゃん今何と申しましたか??」


「あんた耳悪いの?耳鼻科行ってこい。…あの担任、テニス部顧問になるらしいよ。」