「えっ……?」
「これ、嘘じゃないからね。俺も、聞いたとき驚いてさ。だから、部長は絶対立川ちゃんが好きなんだって確信してたし。彼女がいるってまだ信じられないというか……」
顎に手を当ててまだ複雑に考え混んでいる西内さん。彼の発した言葉に、私は夢見心地だった。だって、まさか部長が西内さんにそんなことを言ってくれいたなんて、想像もしなかったから。
ああ、こんな話を聞いたら、諦めたくても諦められなくなる。これだから、部長はずるいんだ。
自分の好意で部長を困らせ、挙句にしっかり振られた。それから、中幡さんという彼女の存在を知っても尚、私の部長への気持ちは止まることを知らないようで、部長がいないここでも胸が高鳴って鳴り止まない。
「はあ」
いつまでもずるずると引きずっている自分のこの気持ちに、つい溜息が出た。
「なんで溜息? 喜ぶとこでしょ」
私の溜息にすかさず突っ込む西内さん。私は、彼の顔を見てもう一度溜息をつくと口を開いた。
「だって、こんなの聞いたらもっと好きになっちゃうじゃないですか。今までだって世界で一番大好きだったのに、諦められなくなっちゃいます」
つい、本音がぽろぽろと出た。発した後に我ながら小っ恥ずかしい台詞を吐いたなと思ったのだけれど、私の向かいに立っている西内さんは、何故か私よりも恥ずかしそうな顔をしていた。

