「いやあ、本当ごめん。何か力になれたら、と思ってしたことだけど余計なお世話だったね」
翌朝。西内さんを廊下に呼び出した私は部長に嘘をついた理由を突き詰め、部長には中幡さんがいることを伝えた。すると彼は、まじごめん、と言うと顔の前で両手のひらを合わせた。
「でもさ、絶対部長は絶対立川ちゃんのこと好きだと思ったんだよね、俺。だから、立川ちゃんに彼氏ができたって聞けば何か動き出すかなー、と思ってさ」
まさか、中幡さんとできてるとは。
そう言って目を丸くしている西内さん。私は、そんな彼の考えや言葉に若干呆れてしまったけれど、そんな風に私のことを考えてくれたこと自体は嬉しいことだなと思ったり。
「西内さん、色々気にかけてくださってありがとうございます」
西内さんも悪気があって言ったわけじゃないんだし、と思い直した私は、小さく西内さんに頭を下げた。それからゆっくり顔を上げると、西内さんは眉を顰めてまだ何やら腑に落ちない顔をしている。
「こんなこと今言っても仕方ないのかもしれないけど、一つだけいい?」
「はい」
「俺が、立川ちゃんと付き合ってるって部長に嘘ついたとき、部長さ〝部下のプライベートな部分に口出しするつもりはないけど、ひとつだけ言うとしたら。立川のこと、絶対に泣かせないでやって〟って言ってたんだよね」

