自分の席に腰掛けるなり、頬杖をついて唇を尖らせると溜息をついた。

 私は、神木部長のことが好きだ。さっき部長に提出した婚姻届だって、こちらは至って真面目に提出したつもりだ。だけど、どうも部長にはまともに相手をしてもらえないのがいつもお決まりのパターン。

 部長に好きになってもらうために、毎朝苦手な早起きをして、胸元まであるミルクティーブラウンの髪を緩く巻いているし、メイクだって一応ナチュラル志向を心がけてる。

 私は、部長のためにこんなに尽くしているし、たくさん愛だって伝えているというのに、どうしてこうも上手く伝わらないのだろうか。

 そんな事を考えていた私の目の前にあるパソコンのモニター画面。その画面の右下にメールの通知が表示された。

 私は頬杖をやめてマウスを手にすると、受信したメールを開いて目を通す。メール内容に全て目を通すと、私は目をぱちりと開き、飛び上がりそうになるのを抑えた。

 〝宛先各位 お疲れ様です。西内です。突然ですが、本日、設計一課で飲み会をしようと思っています。お店はいつもの場所を貸切にしています。今回は部長や課長も誘っていますので皆様是非ご参加ください!〟

 メール内容を何度も読み返す。最後の文は、見間違いでない事を確認するために、特に何度も何度も読み返した。

 私は、急いで返信ボタンまでマウスを動かすと、西内さんに返事を打ち始めた。