「お邪魔します!今日は、突然来てしまってすみません」

 勢いよく頭を下げた。すると、旦那さんの優しそうな笑い声が耳に入ってきた。

「お昼過ぎに香織から連絡は貰ってたから問題はないし、本当に突然来てくれても構わないよ」

 少しずつ頭を上げる。すると、気づけば旦那さんは私の目の前に立っていて、私をまじまじと見始めた。

「え、あの、何か付いてますか?」

 あまりにまじまじと観察され、流石に焦った私がそう問うと、旦那さんは優しく笑って「ごめんごめん。違うよ」と返答を返した。

「金曜はちゃんと顔見れなかったけど、彼女、素材も良いし結構変わると思うよ」

 私から、私の後ろに立つ香織さんへと視線を移した旦那さんがそう言うと、香織さんはにやりと何かを企むかのように笑った。

「でしょう? 沙耶ちゃんが大人っぽくなったらあの部長も振り向いてくれるかもしれないし、お願いね。洋」

「任せて」

 二人の会話の内容を聞いて、少しずつ理解を深める私。きょろきょろと二人の顔を交互に見ていた私を見ていると、香織さんに〝洋〟と呼ばれた旦那さんが私を手招きしながら口を開いた。

「沙耶ちゃん、だっけ。ちょっとこっち来て」

「え? あ、はい」