「私、どうしたら、部長に大人の女だと思ってもらえますか」
ゆるくウェーブのかかった黒髪をひとつに纏めている香織さんは、30歳だけれど、そうは見えないくらい綺麗で透明感がある。だけど、肌が白くて、大人な色気もある、まさに理想の女性。
私が香織さんに助けを求めると、香織さんは「そうね」と言って視線を上へ向けた。そして、しばらく考えると。
「今日、仕事の後時間ある?」
と、私に問いかけた。何も予定は入っていなかった私はこくりと一度頷いた。
「良かったら、うち来ない?」
「え!是非! あ、でも、旦那さんいらっしゃいますよね?」
「大丈夫大丈夫。というか、うちの旦那に用があるのよ」
「え?」
「うちで、大人の女になるために作戦会議をしましょ」
ね? と言って笑う香織さんに、私は目を大きく開いた。早くもワクワクしていた私は、大きく首を縦に振った。
「それじゃあ、また仕事終わりに」
「はい!」

