とある一つの世界が崩壊した。その世界の名は『リルアレル』。異なる星(世界)の均衡を保っていた。その残された星は為す術もなく『リルアレル』と同じ運命を辿った。
だが、崩壊に巻き込まれてもなお、生きている奴らがいた。
彼らはのちに英雄と讃えられるだろう。



~新たな世界~
未来の英雄等は死んだかのように目を開かない。
開くはずも無い。なぜなら今、新たな世界(夢の星)で目を覚ましているのだから。
「…っ!?ここは…」
1人の少年がふと起き上がり、喋る。誰もいない場所に少年の声が反響し、重なって聴こえる。彼は周りを見渡す。
「誰も…いないのか?」
彼は今までにない程の孤独感を感じた。自分の声が反響する部屋の中。扉も無く窓も無い。完全な密室だった。その部屋に一つの風が流れた。彼の髪が揺れ動く小さな風が。すると部屋は世界を映し出す宇宙へと変わった。思わず彼は、
「なんだ…これ…」
と、言葉を発した。すると、
【君は…世界を救う一つの鍵を…探す】
と、少女の声が聞こえた。だが、彼が周りを探しても人ひとりすらいなかった。
「誰だ!?」
【君らは…世界を救う…英雄となる】
彼女は、彼の声には耳を貸さず、話し続ける。
【現実を見よ。君らの足元には崩壊した世界がある。その世界を戻す『鍵』を探す】
「なんなんだよ…世界が崩壊…?んなわけない…だろ」
彼には焦りがあった。彼の頭の中には家族の記憶が流れていた。
【鍵を探し、世界を戻せ】
「崩壊…」
彼の足の下には崩壊した彼の世界『リルアレル』が存在した。
【5人の英雄。鍵を探し、世界を救う】
彼女がそう発すると、部屋は消え去り、一つの大きな門の前に立っていた。大きな門の周りは石が浮遊し、崩壊した世界の様になっていた。
そして4人。
姿があった。
「…」
彼は4人を見て動かない。その4人も同じだった。
数分が経ち、そして1人の青年がが口を開く。
「ここにいても何も始まらない。本当に世界が崩壊したのならば、世界を救うまでだ。そして、明らかに進めというものがある」
青年は大きな門を指差す。
「俺はあの門を通る」
青年は門に向かい歩き出す。
彼は少し躊躇うが、
「待って!…俺も行くよ」
「…そうか」
「私も行くわ!…ここにいても…何も解決しないもの…他のお2人は?」
彼と同じくらいの子が話す。そして、2人は首を縦に振った。その様子を見ていた青年は、
「決まりだな。自己紹介くらいしておく。俺は、『セスファレス』のヴィオ。ヴィオ・ストラクス。18歳」