次に日の朝・・・村の入り口には村長をはじめ村の人ほとんどが集まっていた。

「忘れ物は無い?」

「うん、昨日のうちに準備したから。」

「歯ブラシは?パジャマは?服も足りないわね?あ!そうそう枕!リオは昔からこの枕が無いと寝られないのよね?それと・・」

「まだあるの・・・?」
マリアンはこれでもかというほどの荷物をリオに渡していった・・・両手に持ちきれないほど・・・

「マリアン・・・心配なのは分かるがそんなに渡すとリオは持って旅が出来んぞ」

「でも村長、まだ足りないくらいで・・・」

「あんまり多いと大事なものが埋もれてしまうぞ」

「・・・・そうですね、リオこれで最後1番大切な物よ・・・」
マリアンが取り出したのは、刃が瑠璃色に光る短剣だった。

「なにこれ・・・きれいな瑠璃色、吸い込まれそう」

「家に昔からある家宝みたいなものよ、ずっと家を守ってきてくれた短剣。今度はきっとリオを守ってくれるわ。」

「ありがとう・・・・大切にする・・・。」
短剣をもらったリオは大切にカバンにしまった。それをマリアンは満足そうな顔で見ていた。

「ママからは終わりよ」

「ママからはってことは、他にも何かあるの?」

「そのとうり、リオ儂からはこれをやろう”魔石ケース”じゃ」

「魔石ケース?」

「そう、集めた12個の魔石をしまっておくケースじゃよ。」

「ありがとう、村長!!」

「あんたそそっかしいから、これで魔石を無くさなくてすみそうね」

「そうだね・・・・」

「リオちゃん、気を付けてね!」

「しっかりやってくるんだぞ!」

「リオ!しっかりね!」

「みんな!ありがとう、行ってきます!!」

(大好きな村、大好きなみんな、大好きな親・・・生まれ育った村を離れるのは寂しいけど、立派に魔石を集めて帰ってくるからね!!)

リオは黄玉と一緒に元気よく、決して後ろを振り向かず前だけを向いて走って行きました。

「行ってしまったの・・・」

「行ってしまいましたね・・・」

「小さかったあの子が、あんなに大きくなって・・・」

「それにしても、黄玉があんなに懐くなんて・・・やはりリオにも素質があるという事か・・・さすがストーンマスターの娘じゃな」

村長の言葉にマリアンはほほ笑むのみで、そのまま見上げた青空はどこまでもどこまでも続いていた。
まるで、リオの出発を見守っているかのように・・・。