ちょうどこの日は雨の日だった。
放課後帰宅しようとしていた。
下駄箱の傘置き場で傘を探していたら、傘が
見当たらない。
探していると、後ろから声をかけられる。

渡邉「どうしたの?」

渡邊由美は、微笑んでいる。

渡邊「綾瀬さん。もしかして、傘を探してるの?」


結衣「うん。」

そのとき、渡邊由美は一瞬どこかに消えて、戻ってきた。

渡邊「もしかして、この傘?」

渡邊は傘を結衣に見せる。

結衣「それ、あたしの傘。何で持ってるの?」

渡邊「返してほしい?」

結衣「うん。」

渡邊「嫌だよ。」
その瞬間、渡邊は足で結衣の傘を踏み潰した。

結衣「ひどい。」

渡邊「何が?傘を足で可愛がってあげたのよ。」

結衣「そんなことして、何が楽しいの‥?」
と震えながら言った。

渡邊「聞こえない~。」
後からついてきた渡邊由美のグループ、笹木可奈、町田一香もクスクス笑いながら、こちらを見る。

渡邊は、踏んで壊れた傘を結衣の膝に投げつける。

結衣「痛っっ‥」

渡邊「可愛がってあげた傘、もう用がないから返すわ。」

結衣は、ボロボロになった傘を手で掴んだ。

渡邊「あら、可愛すぎて壊れちゃったわね。ごめんなさいね~。でも、綾瀬さんって地味だから、雨に打たれて帰ったほうがお似合いよ。」

渡邊と町田と笹木の3人は、クスクス笑い続ける。

私はこの状況が嫌になって、雨のなか家まで走りつづけた。