結衣母は、テーブルに人数分の飲み物を用意して、配り椅子に座る。

結衣父「さっきは、ついカーとなって空風くんを叩いてしまい、すまない。ただ、大事な1人娘だから、本当に心配だったんだ。」

晴輝「いえ、勝手な行動してごめんなさい。実は朝、泣いている綾瀬さんを廊下でみかけたんです。そのあと、トイレから悲鳴が聞こえ、俺、気になって女子トイレへかけ込んで、いじめられている綾瀬さんを外に思わず連れ出してしまいました。」

結衣母「空風くん、結衣のこと、助けてくれてありがとう。」

結衣父「結衣、どうして、お母さんとお父さんにいじめのこと言わなかったんだ?」

結衣「い、‥‥言わなかったんじゃない。い、‥言えなかったの‥。お母さんとお父さん、私のこと大切に育ててくれたでしょ?そんな1人娘がいじめられているって知ったら、ショックうけるでしょ?悲しむでしょ?そんなお母さんとお父さんの姿なんて、みたくなかったから…。」

結衣父・結衣母「結衣‥。」

結衣「でも、今日ね、晴輝くんのおかげで、いろいろスッキリしたの。晴輝くんとは、今日初めて知り合ったの。クラスが別で話したこともないし、お友達じゃないのに、晴輝くんがね、助けてくれたの‥。こんな地味で空気みたいな私の名前を知っててくれて、今日からお友達になってくれたの。それに、あちこち連れていってくれて、楽しかった。久しぶりに笑えたの。救われた。」

愛華「そうだったんだ‥。」

結衣「愛華にも、隠しててごめんね。愛華はね、私の大事な友達。愛華にも、心配かけたくなかったんだ。もし、愛華にいって、今度愛華がいじめの対象になってしまったら、と思うと恐くて言えなかった。」

愛華「バカっ、、私はいじめられるほど、そんな弱くないよ!友達なんだから、いっぱい心配かけていいんだよ?いっぱい甘えていいんだよ?いっぱい頼っていいんだよ?私、結衣の味方なんだから。」

結衣「愛華‥ありがとう…。」

晴輝「そーいや、噂が周ってることは、先生にも耳に入ってることだよな?そーいえば、結衣のクラスの担任は、いじめのこと知ってるの?」

結衣「うん‥知ってる。でも、見て見ぬふり。」

結衣父「なんだと?生徒が苦しんでるのに、知ってて見て見ぬふりなんて、許せん。結衣、ごめんな。こんなに、傷ついてるのに気づいてあげられなくて‥」

結衣母「結衣、お母さんもごめんね‥。」

結衣「いいの。謝らないで。いじめられる原因は、結局、私が悪いんだよ‥。」

晴輝「結衣は、悪くないよ。どんな理由であれ、人をいじめるのは、良くない。それは、子どもだけじゃない。大人にもいえることなんだ。人は、皆性格が違うし、顔立ちだって違う。それは皆、受け止めて、生活しなきやいけないと思う。ただ、人の人生を踏み潰す行動だったり、暴言や身体を傷つける行動はしてはいけない。人には、それぞれ人権をもってる。皆、幸せになる権利があるんだ。結衣もその1人なんだから。」


結衣「ありがとう。」

結衣母「明日から、学校はどうする?」