「泣いてるの?」

彼女は聞いた。

僕はコクンとうなずいた。

「それは、どんな気持ちなの?」

彼女は不思議そうに首をかしげていた。

「悲しいの?」

「痛いの?」

「寂しいの?」

彼女がする質問の全部に、僕はうなずいた。

「そう・・・。それは、私と一緒ね。」

寂しそうな彼女の口調に、僕は目を上げた。

すると目の前に真っ白なドレスを着た彼女がいた。

「結婚するのに、どうして悲しいの?」

僕は聞いた。

「私は、結婚しないの。できないの・・・。でもずっとドレスを着てなきゃいけないの。人の幸せだけを見送って、私は幸せになれないの・・・。」








そのとき僕はまだ幼くて、次の朝がくれば【悲しい】も【寂しい】も忘れてた。