「あの、ねっ……」



 「どうしたの?」



 「私ね、見ちゃったの……! 今日の放課の時、梶木くんが空き教室に入っていったところ。そこで待ってた女の子と、梶木くんが……キ、キスしてたとこ……」



 ぎゅっと目を瞑った。


 梶木くんを見れなかった。



 「……あー。見ちゃったのね?」



 「……へ?」



 それは、一瞬誰が返事をしたのかと、戸惑ったほどだった。