__ブーッ、ブーッ


 短く響く振動音に、私は梶木くんの鞄を見る。



 「あれっ、梶木くん、携帯鳴ってる?」



 出ないのかな、と梶木くんへ視線をうつすと、一瞬気まずそうな顔をしていた。



 「え、あぁ、今はいいよ」



 「そうなの?」



 そっと鞄を手で押さえる梶木くんを見ながら、私は首をかしげる。