struck symphony

心くすぐるインテリアを持つ、
エレガントかつスポーティーなボディーから、
V10エンジンが唸る。


陽音は、
馴れた手つきで 愛しいマシンを発進させた。




地下駐車場から地上に出たところで、
暗がりに ネオンを反射した水溜まりに気付き、
見渡す道行く人々の 雨後の雰囲気を察知する。


ふと、

“あの親子は、濡れずに帰っただろうか…”

と、案じながら、


何故、既に居なかったのだろう…と、
どうしても気に掛かり
理由不明の出来事を模索する。


“何か急用が?………大丈夫だろうか…。
…あっ…旦那さんに内緒で来ていて…
…
揉めたのでは…?…”


考えてもわかるはずもない他人事を
考えれば考えるほど
考えは、悪い方へと加速し…
陽音は、
勝手に心配してしまうのであった。


“何故 俺は、
今日初めて見た 知りもしない人のことを
こんなにも 考え込んでいるんだ?…”




後ろの車からのクラクションで我に返り、
目の前の空いてる車線にハッとして、
陽音は、落ち着いて車を進ませ、駐車場を出た。



ーー