「でもさー、転校生だったらあり得るよね。新年明けてすぐだし」

「………まぁ、言われてみると…。でもスーツはなくない?」

「あ、そっか。確かに」


私の言葉にさやかは納得したようで。

でもすぐに小さく"うーん"と唸り始めた。


「……まだ何かあるの?」

「それがどっかで見たことがあるんだよね。その人」

「他人のそら似ってやつじゃなくて?」

「そうかな~。ま、いいや!」


いいんかい!

心の中でツッコミを入れながら
さやかと並んで職員室横の廊下を突き進んだ。


この時、

さやかの言うその人が、職員室に居るのを気づかないまま。


「ようこそ、真壁先生」

「宜しくお願いします」



何かが始まろうとしていたことに、




何も気づかなかった――――。