放課後、いつもの場所で。

「…あのさ、」

「うん?」


並んで突き進む廊下。

足を止めた坂下くんに私も自然と足を止めた。

自分の足元を見るように
顔を下に向けた坂下くんの顔は、

なぜか少し気まずそうな表情で。


「どうしたの?」


何の疑いもなく私は坂下くんの顔を覗きこんだ。


「…いや、やっぱいいや」

「え、そう?」


私の顔に気づくなりニコッと笑いながら軽く首を振って
再び歩き始める坂下くん。

私も慌てて着いて行った。


「そう言えば坂下くんとこんな風に話すの初めてだね」

「そうだね」

「同じクラスだったのに接点がなかったら全然だね」

「俺はずっと話したかったよ」

「え?」


ボソッと聞こえた声。

今なんて…


「あ、着いた」