放課後、いつもの場所で。

「ねぇ!あの人ってあの時の人だよね!?初詣の帰りの!」

「あ、うん。そうみたい」

「やっぱり!遠くからだったけど、今朝何となく感じた違和感は本当だったわ」


うんうん。

と頷きながら納得するさやか。


「どうする!?あとで先生に話しかけてみる?私たちのこと覚えてるかもよ」

「………」

「………風香?おーい」

「え、あ。私はいいや。どうせ覚えてないよ」

「え~つまんな~い」


そうだよ。
どうせ覚えてなんていない。

あの人にとって私は、
あの日に少し話しただけの人なんだから。


それに、

私が"生徒"だなんて



―――――――――気づいてほしくない。

そう思った。