放課後、いつもの場所で。

教師歴2年ってことは、
24,5歳ぐらいってことかな。

それよりも、


―――――先生だったんだ。


そう言えば気遣いも帰り際のセリフも
どことなく教師っぽかったな…

そんなこと考えながら私は視線を下に落とした。

あの時、ずっと名前を聞けば良かったと思ってた。

もう会うことはないと思ってた。


だからまた会えたことに少しは嬉しいはずなのに、
何でだろう。


胸が、痛い感じがする。


「それでは始業式を終わります。3年生から順番に体育館から出るように」


館内に響く声。

どうやらボーッと考え事をしてる間に始業式が終わったようで、

気づくと周りはガヤガヤと騒がしくなっていた。


「風香!!」


後ろから聞こえた声に私は振り向いて、さやかを確認した。

さやかが慌てて私に寄ってくる。