ヤバい…瞼が重くなってきた。

立ち姿でつまらない校長先生の話を聞くのは地味に辛い。


顔を下に向け、瞼を閉じた。

寝なければ大丈夫だよね。


そう思っていた時、トントンと右腕に何かが当たった感じがした。


「?」


重い瞼を開けて右隣を見ると、

同じクラスの坂下くんが私を見ていた。


「具合悪いの?」

「あ、ううん。眠いだけ」

「そっか。下向いてるから具合悪いのかと思った。起きてた方がいいよ。今、近くに担任が来てる」


コソッと小さい声で私に伝えると指だけをある方向へ指した。

その方向を見ると確かに担任が生徒の方を見ていた。


見廻りをしているのだろうか。


私はハッとして、


「ありがとう。おかげで目が覚めたよ」


坂下くんにそう伝えると、彼はニコッと笑った。


おお、朝から爽やかな笑顔。


―――――坂下悠人。

彼は誰とでも平等に接する凄くいい人。

爽やかな笑顔が可愛いと隠れファンが居るとか何だとか。